マルコおいちゃんのドイツ生活ああだこうだ事典 |
≪Bar di Marco≫から旧名に復帰しました。 |
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「Gewürztraminer」とは、イタリアは南チロル(イタリア語ではアディジェ川上流を意味する「Alto Adige」)地方を貫く「Weinstrasse,ワイン街道」にある小さな村・Traminを原産地とするマスカット種を原料に生産される白ワインです。
註、南チロルについてはイザ版の
http://marco-germany.iza.ne.jp/blog/entry/236001/
をご参照ください。
この地はドイツ文化圏にあるため、ワインの趣向もドイツ人好みのようです。
つまり、イタリアの白ワイン、たとえばピノ・グリッジョなどのきりっと、またさっぱりとした味わいとはことなり、腰のしっかりとした体格のある濃い味わいです。
また「Gewürz」(スパイス)と名が冠せられるように香りの高い白ワインです。
「ワイン街道」の名のごとく、東西を二千メートル級の山々にはさまれた谷あいの、しかしかなり開けた地域であるため、その地一帯は一面のワイン畑です。
この地で生産された「Gewürztraminer」は特に名高く、ドイツ人に珍重され、そのコピーもドイツ各地で生産されているほどです。
このたびその故郷を訪ね、思いのまま現地のものをいただく機会を得たわけです。
ご存知のようにワインは旅を嫌います。それゆえその原産地で味わうのが最高とされていますが、今回はその贅沢をしっかりと堪能してきました。
もちろんバールやレストランではグラス一杯2ユーロ程度のものが普通であるわけですが、たぶんそれは一本8ユーロ程度のクラスであろぅと思われます。
ワイン一本に30ユーロ以上出資するほどの数寄者ではないので、それで十分なのです。充分に美味でありました。
空気の甘く澄んだ高原の気があふれるワイン畑をみおろすレストランでゆっくりグラスを傾けるその至高の時。ゆっくりと流れるその時を味わうのも旅の楽しみなのですね、これが。
どうです、うらやましいでしょう?うふふ・・・
イムビス(Imbiss)で、もっとも売れ筋といえば「Pommes」であろうか?
正しくは、「Pommes [de terre] Flites」、そう「ポテト・フライ」である。「フレンチ・ポテト」とも日本ではいう、が、ドイツ人はただ「Pommes」とだけ呼ぶことが多い。
仏語風に「ポム」ではなく、「ポメス」と発音する。ドイツ語では書いてある通りに読むのが原則であるからだ。
だれもそれがフランス語だとは思っておらんだろう。しかし、では「ポメス」とはなんぞや、とたずねれば答えに詰まるやも知れぬ。
それほど普通のドイツ食と化しているのである。
簡単なものゆえ、ところにより美味、不味の当たりハズレが大きい。
きちんとナマのジャガイモの皮を剥いてスライスして揚げたものなら、まあ美味に決まっておろうが、そんなことをしていれば店はつぶれる。
よって,あとは揚げるばかりに準備された冷凍のものを使用するのが大部分である、よって不味い。
この、「Pommes [de terre] Flites」が美味なのは、実はフランスではなく、ベルギーである。彼の地の国民食といってもよかろう。いちどベルギーのドライブ・インで「Pommes」だけを大盛りにしたものを嬉々として喰らう家族を見たことがある。
よって競争も淘汰も激しい。ゆえに生き延びたものはすべてよろしいのである。前に述べたきちんとナマのジャガイモを、という味に等しい。
これは、オランダ語圏フランス語圏とわず同様に美味い。
いつも、ベルギー人(オランダ語圏フランス語圏双方)に尋ねる、何故にあんなに美味なのであるかと。
彼ら彼女らは一様に誇らしげに答える。
1)ジャガイモがちがう。
2)油がちがう。
で、いちどベルギーで試みにジャガイモを買って帰った。それはフランス産であった。なんだ、やっぱりフランスのものか、と思った。
しかし、なぜフランスのものはベルギーに劣るのか?とすると油に秘密がありそうだ。吾輩の「Pommes」探求の長い旅が続く。
さて、以下は余談であるが吾輩の今までに食した最高のできばえの「Pommes」を紹介してみよう。
それはチェニジアのホテルで食したものだ。
チェニジア料理は、アラブとトルコのわるいところだけをミックスしたような代物であるが、あるホテルのプールサイドにある軽食スタンドで給したものは、素晴らしく美味であったな。
ナマのジャガイモを使用していたのは無論であるが、油が現地のオリーブ・オイルであった。
とても香りがよくカリッと揚がって中はホクホク、実に忘れがたき思い出となっている。もいちどアレを食べにチェニジアに飛んでゆきたいほどだ。嗚呼、わが愛しのポメスよ!
今日6月27日は、「Siebenschläfertag」である。しかし休日ではない。
「Sieben」は「Seven」、「Schläfer」は、「Sleeper」、そして「Tag」は、「Day」である。
つまり「Siebenschläfertag」とは、「Seven Sleeper Day」となるが、これでは、何のことかわからんな。信仰をもつ方々はご存知かも知れぬ。
それは、「Sieben Märtyrer von Ephesus」(エフェソスの7人の殉教者)に由来するものなのである。
現在はトルコ領になっているが、エフェソスはギリシア人が築いた古代都市である。黙示録を書いた使徒ヨハネは、この都市で迫害を受けてエーゲ海に浮かぶ島・パトモスで黙示録を書いたといわれている。
エフェソスのギリシア遺跡の写真は以下で。
それより後、西暦251年、七人の兄弟が信仰のため、ローマ皇帝の命により、エフェソスの洞窟に生き埋めにされた。
しかし、その196年後の西暦447年、とつぜんその洞窟が開き、七人は目覚めた。つまり196年眠り続けたというわけである。
この七人を「Siebenschläfer」といい、その七人が目覚めた日が、6月27日というのであるが、例によってどうもくさい。
ゲルマン民俗が、このキリスト教の故事の古層に潜んでいるようの思われるのだ。
そして、この故事が『眠れる森の美女と七人の小人』に色濃く影を落としていることをお察しのことと思う。
ドイツ歳時記的には、この日は、農民がその年の夏の気候を占う日なのである。
つまりこの日が、晴れて乾いて暑ければ、その後7週間はそのとおりの気候に。雨で寒ければ、そのような天気になるといわれておる。
統計的には、南ドイツでは、なんと七割りの確率で正しいそうだ。
ゆえに迷信とはいいきれず、今は農民ばかりでなく、それ以外の職業の人々も、今日の天気を気にしてしまう。風俗習慣とは、いったいにそのようなものであろう。
それだけドイツの天気はあてにならぬということであろう、いやそうだと断定しておこう。まったくドイツの天気はしょうもない小便天気である。
イヤ、失礼、つい私情がはいってしまった。
さて、今日の天気はというと・・・。
曇り、時々晴れ、または雨。という、いかにもドイツらしい普通の天気である。が、気温が低い。摂氏15度前後であろうか?
この夏は、「冷夏」というヤダヤダな占いであるが、さて結果はどうであろう?期せずに待ちたい。
「Imbiss」こそ、ドイツ食文化を代表するものかも知らぬ。
古高地ドイツ語(Althochdeutschen)の「 imbizan」から由来するというが、「間食」のことである。
小腹がすいた時に食す「ファスト・フード」と考えてもらってもよい。
このイムビスは、そういう商売の形態をさしてもいるし、その商品もさしている。
商売形態としては、ちゃんとした店構えのものもあるし、ワゴン仕立て(屋台)のものもある。簡便で廉価であるから、銭のない学生や失業者、ホームレスなどの常食でもある。
以前紹介した、「Frikadelle」などは、このイムビスでいつでも買える。
あといくつかイムビス・スタンダードを列記しよう。
「Bratwurst」、「Currywurst」、「Pommes」などである。
本日は、「Currywurst」につき説明しよう。
それには、「Bratwurst」からはじめねばならぬ。なに、ただのグリルしたソーセージのことである。
さらにその上にトマト・ケチャップをぶっかけて、カレー粉をふりかけたものである。
なかには、きちんとカレー・ソースをつくる立派な心がけのイムビス店主もいるが、例によってそのようなこだわりのポリシーをもつ者は、あいにくこの業界では生き延びることはできない。悪貨は良貨を駆逐するのである。
よって世にのさばるのは、トマト・ケチャップとカレー粉のほうである。
吾輩も、こっちに来たばかりの頃は、めっちゃたくさん食したものであるが、いまやあまり眼にしたくないものの一つに分類しておる。
ささやかな我がドイツ食生活を一時いろどって消えていった、まあ懐かしき食い物ではある。「Currywurst」君、いまでも健在でいるのだろうね?