忍者ブログ
マルコおいちゃんのドイツ生活ああだこうだ事典
≪Bar di Marco≫から旧名に復帰しました。  
[PR] 
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


カネッティの両親はヴィーン留学中にしりあい、二人の会話はドイツ語で行っていたことは以前にふれました。

 

カネッティは以下のように書いています。

 

「両親が対話を始めるとき、自分が除け者にされていると感じる正当な根拠があった。彼らはその際非常に生き生きとして来て陽気になったのであり、私は自分がはっきり感じとったこの変身をドイツ語の響きに結びつけた。私はこの上もなく緊張しながら彼らの話に耳を傾け、それからあれこれの単語が何を意味するかを彼らに尋ねた。彼らは笑いながら、そういうことはお前にはまだ早すぎる、お前がもっと大きくならなければ理解できないようなことだ、と言った。」

 

この特殊な言語環境が、彼をドイツ語にひきつけることになったのが容易に想像されます。それは自己のよってきたる者達の秘密の会話に用いられる言語であり、また男女の愛という子供にとっては不可思議な世界への鍵でもあったのですから。

 

その後、両親は祖父母たちの反対をおしきり子供たちを連れ英国へと移住しますが、そこで不幸にも父が突然死してしまいます。

 

母は、さらにヴィーンへの移住を決心し、学業のために必須であるドイツ語を幼い息子に自ら教授することになります。

 

カネッティにとっての、その喜びたるやいうまでもないでしょう。彼はついに秘密にみちた憧れの言語を手にすることができたからです。しかも父に代わって保護者となるべき対象たるその母親から直接教授されることにもなったのですから。十分な誇りさえ手に入れることになりました。

 

このようにドイツ語を獲得できたことを、彼は「救われた舌」と表現しました。

 

 

家内によると、カネッティのドイツ語表現は実に美しいものだそうですが、あたしにはあいにくそこまで読み取る力がありません。

 

ただ彼をめぐる言語の状況に驚きを覚えるとともに、言語と言語表現をめぐるさまざま形に強く興味を惹かれます。

 

 

カネッティについては、これくらいに止めて、自己の言語生活をめぐって話を進めようと思います。

 

<続く>

aa5df8c2jpeg



















Goldbackとミツバチ
PR
COMMENTS
この記事にコメントする 
NAME:
TITLE:
URL:

MESSAGE:

PASS:[]
だむさんへ 
いったんタイトルを押す。
そうするとこの画面が出ます。
で、書き込み成功!のはず。
やってみますね~。ぷち!
2007.04.23 09:09 Posted by ひよこ | Edit
無題 
ひよちゃま、ありがとう!
新しいシステムは中々慣れないもので・・・・

ふとこのエントリーで思ったのが、例のバージニアの銃乱射事件の事です。韓人移民だけではないと思いますが、移民した韓国人は親は韓人社会に留まり韓国語を主にその輪の中で生活をします。幼い子供は公立の学校へ行き英語がどんどん上達します。家でも英語を使うようになり韓国語を忘れていく・・・ 気付くと家族のコミニュケーションが取りづらくなるようです。
日本でもインターナショナルスクールにはいる家庭で同様の事が起こるようです。米系航空会社に勤める友人の話だと日本で両親が日本人なのにわざわざインターナショナルスクールに行った人の英語の発音は悪く(日本のインターは東南アジア人が多いため)変な癖のある英語になるので採用しないと言っていました。あ、話がづれてしまった。すみません!
2007.04.23 11:56 Posted by damedakorea | Edit
ひよさま 
ありがとね。
2007.04.23 16:31 Posted by マルコおいちゃん | Edit
エリちゃん 
そういう問題だったのか?言語不通になってしまいました。
言語の問題は人間生活の根本問題の一つです。外国にくるとその問題がはっきり露呈します。
自らの言語共同体の中にいてさえ、気をつけてみれば言語不通の問題はすぐにでも発見できます。
たとえれば、人にあったときにちょっと微笑む、という言語表現ができないヒトだっていますからね。
2007.04.23 16:34 Posted by マルコおいちゃん | Edit
無題 
お兄ちゃんこんばんは~
今回の事件は言葉の問題だけはなくて、韓国の教育環境が密接に関連していると思います。それと本人の性格。韓国社会では結果を残さないと過程が良くても評価されないんですよ。出来る姉が可愛がられダメな弟には関心が薄かったようです。親の愛情がちゃんと注がれて本人にもそれが感じられたらこんな事にならなかったのかも知れません。
2007.04.23 21:32 Posted by damedakorea | Edit
おっと 
そっちへ飛ぶか?
あの事件は、よくわかりません、だって本人が自殺してしまいましたからね。
2007.04.23 23:34 Posted by マルコおいちゃん | Edit
無題 
マルコおいちゃん、はじめまして!
ドイツ語学校での教科書の中で「Die gerettete Zunge」が出てきたの、すこおし憶えています。
おいちゃんによるカネッティに関するお話を読んで、このたび1冊読んでみようと思い立ちました。わくわくします♪
2007.04.24 00:17 Posted by コロ | Edit
コロさん 
はじめまして、ようこそ。
そうですか、ドイツ語を勉強中。読書の中間報告も、ぜひお願いします。
今後ともよろしくどうぞ。
2007.04.24 06:10 Posted by マルコおいちゃん | Edit
子供の頃のカネッティさんが 
眼をキラキラさせてドイツ語を学んでいる姿・・・。
目に浮かぶようです。
2007.04.24 16:13 Posted by nihonhanihon | Edit
あたしの場合は 
いやいや学びました。ああ思い出すダニ鬱陶しい。
2007.04.24 21:19 Posted by マルコおいちゃん | Edit
TRACKBACKS
この記事にトラックバックする 
忍者ポイント
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
          ドイツ冬時間
最新コメント
[11/04 アムゼル]
[11/04 美月]
[10/22 美月]
[10/22 アムゼル]
[10/21 美月]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
マルコおいちゃん
性別:
男性
バーコード
ブログ内検索
カウンター
お天気情報
アクセス解析
忍者ブログ [PR]
  /  Photo by MIZUTAMA  /  Design by Lenny