マルコおいちゃんのドイツ生活ああだこうだ事典 |
≪Bar di Marco≫から旧名に復帰しました。 |
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さて焼きあがったピッザは、さきの男とは別の男がオーブンの右に控えていて、焼きあがったものから、後ろでひかえる別の男の皿にのせます。
皿でうけた男は、皿をウエイターにわたします。ウエイターが三人、かわるがわるオーブンと客席を往復します。
さて、飲料がほしい場合は、飲料専門のウエイターに注文します。コーラなどの清涼飲料と、ビールなどのアルコール飲料では係りがちがっていますから、ご注意を。
そうそう、ピッザの注文ですが、マリナーラをとくに用命しなければ、それはもうマルゲリータということですから、黙っていればマルゲリータが運ばれてきます。
簡単でしょう。
おやっ、誰かがマリナーラを注文しました。
そのとき、主人は、いやオヤジといったほうが正確でしょうが、そのオヤジがじろりと胡散臭そうな目つきで客をにらんだかと思うと、いかにもめんどくさそうな手つきで、モッツアレラのかわりにニンニクをトマトの上に散らします。
この小さな店に、さて何人の男が働いていたでしょうか?
そう、全部で10人(だったかな)です。
30人の客にたいして10人でするサーヴィスですから、もちろん旨いはずでよね。
がしかし、味のほうはとくにとりたてて言うほどのものではありません。
普通の、ナポリのどの店でも食べられる程度のものなんです、実はこれが。しかもマルゲリータしかありつけない(マリナーラを注文するには勇気がいりますからね、この店じゃ)。
そんなご不満をお持ちの貴兄・貴姉には、この店のすぐ近くにもう一軒、これまた現地では有名なお店があるのです。
≪Da Michele≫を背にして歩いて、そう100m程度のものでしょう、すぐ右側にもっときちんとした店構えの、でも名前はとくに秘します。だって日本で有名になって、また行列でも作られたんでは困りもんですからね。
もうすでに有名かしら・・・・・・・?
そこは、ひろい二階席もあり、テーブルは大理石(でも椅子は白いプラステイックというアンバランス?!?)。
どんな種類のピッザもあります(ダークサイドくん、狂喜したまえ)。お好みで出来上がりにオリーブ・オイルをかけてくれます。これが絶品。
で、値段も≪Da Michele≫と同じ(ユーロ以前で、マルゲリータが4000リラだったから、たぶん)4ユーロ。最近ご無沙汰なので、あしからず。
ぜひお試しあれ。
前回、ちらとふれたピッザの老舗・≪Da Michele≫を紹介しましょう。
ナポリも中心街、といってもナポリ大学からウムベルト一世通りを中央駅にむかった、あまり上等とはいえない一角にその店はあります。写真のように住宅の一階、じつにささやかな店なのです。
しかし、いつ行っても行列。その頑固な営業方針が世界中に知れ渡っているのか、行列する人々もさまざま。とくに米国なまりの英語が耳障りなほど、多く聞こえてくるようです。
古代ギリシア植民地であったころから近代のフランス植民地時代まで、大いに栄えたナポリですが、イタリア統一以後、貧窮した街になりさがり、多くの貧民を移民として南北アメリカへ送り出しました。
その後裔たちが里帰りしていることもあるのでしょう。
さてその店は、中の広さがせいぜい20平方メートルといったところでしょうか?
入り口を入ると正面にオーブンが鎮座しているのが見えます。もちろんオリーブの薪を使用します。
席は、五人がけ程度のベンチ式の椅子席をもつ長いテーブルが、左側に平行して二つ。右側にひとつ。ですからおよそ三十人で満員というところでしょうか?
左のテーブル席に面して、つまりオーブンにむかって左側に三人の職人が、客席にむかってまるで舞台の役者のように、しかしただ黙々と仕事をしています。
そのうしろ左の壁際で、粉をこね、まるめ、ひらたく伸ばす職人がいて、ひろげた生地をさきの三人のうち一番左側の男にわたします。するとその男は生地の上にトマトを盛り付けて、真ん中の男にわたします。
どうもそれが主人であるらしく、ものものしい威厳にみちた顔つきで、その上にモッツアレラを盛り付けます。そしてバジリコ。
右の男がそれをヘラでうけてオーブンの中へ。
さてこれが、前工程です。
<続く>
ピッザの本場といえば、いわずと知れたナポリです。
ナポリのピッザは、ほんとうに他の地方のピッザとは違います。もとより日本のものとは、もう画然と異なる食物であると断言しておきましょう。
まず、ピッザの生地がちがいます。弾力のある、焼きあがったばかりのその香りはちょうど日本のお餅が焼けたような、食感も歯ごたえのあるモチモチした感じ。
生地を内側を薄く、外側を厚く広げるのも、またちとちがいます。大きさも、そうだいたい直径40cmはあるでしょうか?
のせるトマトがすこしすっぱめの味がしますし、なんといってもモッツアレラがちがいます。念のため申し添えておきますが、ピッザにはモッツアレラ以外のチーズを使用するのはご法度ですよ。もし黄色いゴーダ・チーズがのっていたら、即「あっ、これ贋物」といってやりましょう。さらに新鮮なバジリコの葉っぱがのります。
このトマトの赤、モッツアレラの白、バジリコの緑であらわすのがイタリアの国旗、世に言う「ピッザ・マルゲリータ」(Pizza Margherita)がこれです。そして、それですべてです。
ナポリでピッザといえば、このピッザ・マルゲリータしかなく、あとはすべて邪道(といわれています)。
もちろん、妥協の道はいくらでもあるわけで、街には種種雑多なピッザがあふれています。あふれてはおりますが、正しいピッザといえば、ピッザ・マルゲリータにつきる(ということになっています)。
老舗の≪Da Michele≫は、頑固にこのマルゲリータだけを給するので有名です。店には、「頭のいたくなるような難しいピッザは作りません。マルゲリータとマリナーラだけだよ」と店主の断り書きが貼りだしてあります。
その心意気やよし。で、マリナーラ(Mrinara)とは、モッツアレラをのぞいて、かわりにつぶしたニンニクをのせるものです。これを別名、「ピッザ・ナポリターナ」と現地では称します。
つまり、マルゲリータがあまりにも有名になってしまいましたが、実は本場中の本場・ナポリのピッザは、マリナーラに止めを刺すのですよ。
皆さん、よく覚えて知らない人に知ったかぶりをしてくださいね。